NPT・NY行動に参加して

NPT・NY行動に参加して

金光教稗島教会 副教会長 高島 保

被爆70年を迎える今年、NYの国連本部で開催されたNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議の要請行動に、4月25日~5月1日の日程で参加しました。

26日午前、国連チャーチセンター礼拝堂において「多宗教合同礼拝」が開催され、キリスト教、ヒンズー教、ユダヤ教、イスラム教、仏教、新宗教の宗教者が世界恒久平和への祈りを捧げました。黒人教会のハーバート・ドートリー牧師は、「我々が覚えておき、嘆こう。広島と長崎で死んだ人々のことを」と述べ、海外の宗教者のメッセージには、広島、長崎の原爆のことが祈りのなかで多く捧げられており、戦争に関わった者、戦争で利益を得る者への赦しも祈られました。祈りとメッセージの間には、NYの子どもたちが『原爆の子』(長田新編纂)を交代で朗読され、あらためて平和への強い意志を抱く子どもの育成こそ最高の課題であると痛感しました。原爆の惨禍は過去のこととしてではなく、現在の、そして次の世代の切迫した問題として語られています。その悲劇を繰り返してはならないという願いと併せ、原爆投下に至った戦争を再び起こしてはならないという誓いが込められています。世界の宗教者が、核兵器廃絶に向けて宗教、人種、国籍の垣根を乗り越えて互いに尊重し、心を一つに祈る機会が与えられたことは尊いことだと感じました。

同日午後、ユニオンスクエアでの「共同行動集会」では、アメリカ・ イギリス・メキシコ・フィリピンなど各国のスピーカーに続いて、カザフスタンから生まれつき両腕を持たないカリプベク・クユコフ氏が発言。「母国の被爆者は100万人を超えた」と、歴史の経験にも関わらず核実験を続ける国々に向かって警鐘を鳴らしました。集会後、パレードが出発。宗教者代表団も被爆者の方々とともに、日本から準備してきた横断幕や折り鶴などを持ち、核兵器廃絶への思いをアピールしました。国連本部近くの広場まで、マンハッタンの大通りのレーンを大きく使っての行進でしたが、「軍事費を貧困者に」と犬を連れた黒人女性が怒りをあらわに飛び入り参加する一幕もありました。

国連本部近くのダグ・ハマーショルド広場で行われた「平和フェスティバル」では、日本代表団が持ち寄った署名633万以上の目録を今回、議長を務めるタウス・フェルーキ氏と、アンゲラ・ケイン軍縮担当上級代表に手渡しました。フェルーキ議長は「核軍縮は政府だけですることではありません。市民1人ひとりの行動があってこそ実現できます」と活動の努力を高く評価。また、ケイン氏は「被爆者をはじめみなさんの参加や署名は核廃絶の世論を強める上で非常に重要です。市民社会の行動はとても力になります」と発言しました。
28日午後、日本宗平協主催の「宗教者・平和活動家交流集会」では、ニディア・リーフ氏が、「米軍は、貧困者を的に絞った若者を対象に、除隊後の奨学金や在役中の安定した給与でリクルート活動を行っている」と指摘されました。若者をターゲットに戦争を貧困ビジネス化し、経済的徴兵制ともいえるシステムの構造は、まるで、格差大国アメリカの後を追う日本の将来に対して警告を発しているかのようにも考えられます。

NY行動は、どれも驚きと感動に満ちた貴重な体験でしたが、実際に核兵器の廃絶を目指す世界の人々が一丸となって取り組めば、必ず実現できることを肌で感じることが出来ました。核兵器廃絶は、唯一被爆国である私たちの責務であると同時に日本人の役割は非常に大きいものだと考えます。

今回、参加するにあたってご援助いただきましたすべての皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

浄土真宗本願寺派  宣光寺 住職 小倉雅昭

14時間のフライトの後、初めて訪れたアメリカの地。私の気持ちを圧倒的に高揚させたのは、ニューヨークの街並みではなく、日本全国から集まった1058人の代表団、そしてユニオンスクエアの広場に世界中から終結した1万人近い人々の熱気でした。

NPT再検討会議の開会に際し核兵器廃絶を訴える平和パレード。1万人の群れは国連本部前までデモ行進。ニューヨークのメインストリートを埋め尽くしました。日本の宗教者代表団は「殺すな殺されるな」(宮城泰年師揮毫)の横断幕を持ちながら歩きました。

国連本部前の公園で再検討会議議長に渡した核兵器廃絶署名は633万6205筆。

 開会に際して読みあげられた潘基文国連事務総長のメッセージ。

「私はすべての締約国に市民社会グループとの関わりを深めるよう促したい。彼らはNPTの規範を強め、軍縮を促進するうえで重要な役割を果たしている。・・・世界の関心ある市民から何百万もの署名を集めている。・・・彼らの原則的な努力に、私は全面的な支持を誓いたい。」

 宗教者の国際交流も感激的なものでした。
「ニューヨーク行動」の直前に行われた多宗教合同礼拝。国連本部前のチャーチセンターの礼拝堂正面には、十字架(キリスト教)、星と三日月(イスラム)、ダビデの星(ユダヤ)、法輪(仏教)、鳥居(神道)が並べて掲げられていました。

 再検討会議では、米英などの反対により、最終文書は採択できませんでした。しかし、非同盟諸国など多くの国の支持により最終文書案で「核兵器禁止条約」が初めて言及され、核兵器の非人道性を告発し核兵器禁止の法的措置を求める「人道の誓い」への賛同も過半数を超える107カ国にまで広がりました。

「平和の祈りを行動の波へ」 核兵器廃絶を実現する歴史の扉は確かに重いかもしれませんが、私たちの行動の積み重ねが、その扉を開いていく確実な力となっていることを教えられた有り難い機縁でした